五代日記第九十四話♪



そりゃ、そうだ。


平日の月〜金、朝から晩まで予備校にいるのだが、


誰とも話さないから日中は声を発する機会がない。


声を発するのは、


家帰ってきて、ご飯を食べている時に、


家族と少し話すぐらい。


場合によっては一言も言葉を発しない日もあったのではなかろうか?





だからこの浪人時代の会話といえば、ほとんどが、


『自分との無言の対話』のみ。


他人なんて存在しない、完全に一人だけの世界で生きていた。





「人は、他人の中に存在する自分を感じて、初めて生きた心地がする。」





これは、あたしが大好きである銀魂の名言であるのだが、


まさにこの言葉の通りで、


他人の誰一人の意識の中にも、


自分という人間が存在していないこの時の世界は、


想像を絶する以上に孤独で、


生きた心地がしていなかった。





「孤独」、


そして次も大学が受かるかどうか分からないという「不安」。


だから浪人生活の秋頃には一度、本気で頭がおかしくなりそうな時期もあった。





そんな暗黒時代のあたしに、


唯一救いの光となっていたのが意外にも、


アニメであった。






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あたしの浪人生活の1日は、


朝から夕方まで予備校で勉強し、


夜に家に帰ってご飯食べた後、また0時ぐらいまで勉強し、


風呂入って寝る


という修行僧のような生活だったのだが、


当時、我が家ではキッズステーションが見れる環境にあり、


ちょうどその時期、


深夜1時からスラムダンクが放送されていたのだ。





だから毎日、それを見ることだけを楽しみに、


勉強を頑張っていた。


湘南VS海南戦の時なんかは、


海南の神宗一郎が、毎日必ず500本のシューティングをこなす姿を、


自分が毎日英単語100個の暗記をこなす姿に重ねて見たりしていた。





でね、とある日、そのスラムダンクを見終わり、


あぁ、唯一楽しい30分が今日もあっという間に終わったなぁー。


明日も予備校かぁー。


そろそろ寝るかぁー。


と、テレビを点けっぱなしにして、グダグダしていたら、


スラムダンクの後に、とあるアニメが放送されていたんですよ。






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