店員
「ありがとうございましたー」
…
「はぁ。
また今日も負けた。」
これでコロナ明けのパチンコ、
8連敗。
そもそもパチンコなんて勝てるギャンブルでないのに、
コロナ明けの釘が締め締めのパチンコで
勝てるわけがないのだ。
あのまま永遠と自粛期間が続いて、
世の中にあるホールが
全て潰れてしまえば良かったのに。
そしたら、パチンコで負ける日々ともおさらばできたのに。
…
ザザザーザザザー
…
「あぁ。雨まで降ってきたよ…」
コンビニで傘を買う金すら残っていない。
ほんと、僕の人生なんてクソみたいな人生だ。
…
僕の名前は夜神ライト。
「ライト」なんて珍しい名前であるが、
僕の両親が大のパチンコ狂いで、
共にライトミドル機が好きだったことからこの名前を付けたらしい。
こんなふざけた名前を自分の子供に付けるなんて、どうかしている。
両親共にパチンコ狂であるならば、
本来パチンコに関してだけはサランブレットであるはずなのだが、
僕はパチンコが下手くそだ。
全く勝てない。
止め打ちの一つすらできやしない。
そしてさらに僕は両親と反してゴリゴリのMAX機派。
ライトミドルのチョロチョロとした出玉なんかに興味は無い。
でもパチンコ下手くそだし、
生まれ持った運も無いから、
この日もCR北斗無双で6万負けたのであった。
ドンっ!!
「どこ見て歩いてるんだ!ボケっ!!」
見知らぬ怖い人とぶつかり、
雨の水溜りに倒れこむ僕。
ホールのタバコの煙で染み付いた汚い服が、さらに汚れた。
もう立ち上がる気力すら起きない。
「ははは。どうにでもなってくれよ…」
このままここで息絶えたとしても別に構いやしない。
自暴自棄になりつつ、
このままずっとここで倒れ込んでいようかと思った、その時、
「うん?」
何やら向こうの方で、暗闇の中、
一筋の光が差し込んでいる。
「何だあれは?」
僕はその光が放つ方に導かれるかのように向かった。
その光が差し込む所に近づいてみると、
そこには
一冊のノートがあった。
このノートが周りと異色を放っていた正体か。
「何なんだ、このノートは?」
僕は恐る恐るそのノートを手にしてみた。
すると…
…
「ぅ、うそだ…」
「これはまさか…あの…」
…
DEATH NOTE
ではないか!
「マジか。。
あのデスノートが本当にこの世に
存在したのか…」
「…いや、ちょっと待て。」
「違う…これはデスノートではない。これは…」
…
…
当たるんDEATH(です) NOTEだと!?
一体何なんだ、これは?
???
「おぅ。オマエが当たるんDEATH NOTEの新しい所有者か。」
この声は…
まさか死神!?
まさか貴様は…
あのリュークか!!
リューク
「俺の事を知っているのか。
ならば話は早い。
ライト、そのノートを使え。
そしてパチンコで勝つのだ。」
夜神ライト
「パチンコで勝つって言ったって、
こんなノートを使って一体どうやって…」
リューク
「そのノートをよく見てみろ。」
僕は死神に言われるがまま、
この当たるんDEATH NOTEを開いてみた。
すると、ノートの最初のページにはこんな事が書かれていた。
【HOW to use it】
○このノートに名前を書かれた
リーチ中の敵は死ぬ。
故にそのリーチは、当たるんデス。
○当たるんデスノートは
リーチ中に敵の名前を書かなければ
効果は得られない。
○ただし右打ち中は一切無効。
よって効果を得られるのは
左打ち中の通常時のみ。
…
夜神ライト
「リューク、これは…」
リューク
「そうだ。
この当たるんデスノートを使えば、
通常時であれば
どんなリーチであっても
当てることができるのだ。」
夜神ライト
「そんなまさか…
そもそもパチンコにおける
アタリハズレは
ヘソに玉が入賞した時点で
既に決まっており、
画面で映し出されるリーチ等は
単なる演出に過ぎないはずだ。」
リューク
「嘘だと思うなら、
今から再びホールに行って、
そのノートに書かれた手順通りにやってみろ。
それで全てが分かる。」
ふん。
ばかばかしい。
リーチ中にノートに敵の名前を書くだけで当たるだと?
それが本当だったら蔵が建つわ。
僕はこの死神の言うことを信じなかった。
だがしかし、
そこまで言うのなら…
少しだけ試してみるか。
僕は先程無双で6万負けたホールに戻った。
そして、
この日まだ回されていなかった
P10カウントチャージ絶狼。
その大当たり確率は1/319。
319なんてそんな簡単に当たらないだろうから、
もし、
最初のリーチでこのノートを使い、
本当に当たったとするならば
このノートは本物と考えて良いだろう。
まぁ、オカルト自体信じない僕が
そんなカルトじみた話、信じやしないが。
もう財布には現金が無かったので、
会員カードに残っていた泣けなしの貯玉を使い、
打ち始めてみた。
すると…
…
ピピピピン!!
いきなり入賞時ZEROフラッシュ赤きたぁー!!!
…いや、
確かに入賞時ZEROフラッシュ赤は熱いが、
これ単体だけでは簡単に外れるのがゼロだ。
現に初打ちの時ハズしたし。
この変動は特に熱そうな予告は無く
普通にホラーバトルに発展し、
発展先のホラーが、
ほれみたことか。
入賞時ZEROフラッシュ赤だけじゃ当たらないんだよ。
まぁ、いい。
もしこれでこのノートにホラーの名前を書いて
本当にホラーを倒せたら、
このノートは本物ということで良いだろう。
こんな感じで良いのかな?
…ふん。ばかばかしい。
僕は一体何をやっているのだ?
そう思った瞬間、
画面にヒビが入る!!
ということはゼロCRUSHが…
…
来なかった。。
そして
ゼロの攻撃も下から2番目の緑だった。
んだよ。