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刺激を超えるのは、刺激だけ。


HN:京子

第一回目のお話はこちら からどうぞ!


<天下一準決勝>


★・・・・・★・・・・・★


【あらすじ】


29歳の主婦『京子』は、


年上の夫(たかし・36歳)と一人息子(たけし・10歳)とともに平凡ながら幸せな毎日を送っていた。


いや、送っていると思っていた。


広すぎる家を毎日掃除し、夫と子供のために食事を作って待つ……


毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日……


自分を「幸せだ」と思ってはいたが、あまりにも単調すぎる日々の繰り返しに、いつしか京子は、


身を焦がす様な刺激を欲する様になっていた。


そんな時に出会った『パチンコ』。


そしてパチンコを教えてくれた……


歳の離れた男………ひとし(52歳)


ひとしは京子に『オスイチ』『やめちゃったふり作戦』などを教え


そして…


刺激を与えた。


台パンを、

そして素人○貞だったひとしを引っ叩く喜びを教えてくれた。


思い立ってGO TO キャンペーンで旅打ちに出かけた京子とひとし。


刺激を求めるあまり家の預金300万円をつかい込んだ京子。


………もう、止まらない。


止められない。


京子の刺激への欲望は、走り出した。


しかし、その矢先、

ひとしとの滞在先のホテルに


夫のたかしが息子のたけしを連れて乗り込んできたのだった。




★・・・・・★・・・・・★


(時は少し戻る。)


僕の名前はたけし。10歳。


パパの名前は、たかし


ママの名前は、京子です。


今朝起きたら、
ママがどこにもいませんでした。


今日は日曜日だし、いつもならママは台所で朝ごはんを作ってくれるはずなのに…。


どうしたんだろう。


どこかにお出かけでもしているのかな?と思って、僕は1人で遊んでいました。


でも、お昼を過ぎても、15時を過ぎても、ママは帰ってきません。


パパに一度『ママを探しに行こうよ!!』と、言ったのですが


パソコンに夢中で僕の話を聞いてくれません。



パパは


『よし』


とか


『こい』


とか


『あがれ』


みたいな事を言っています。


一人でぶつぶつ言っています。


あーあー。


朝も昼も食パンで飽きちゃったなあ…。


ママ、どこいっちゃったのかなあ。





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(たかしが乗り込んできたホテルを出た後、京子とひとしは…)


ひとし
『上手くいきましたね。』


京子
『そうですね。

…でも、ひとしさん…あんな大金本当に…』



ひとし
『大丈夫ですよ!!


僕のパチンコの生涯収支は8000万円です!


それにさっき電話でホテルのチェックアウトも済ませましたし、レンタカーも手配しておきましたから!!』


ありがとうございます……

そうひとしに告げて、私は車に乗り込んだ。


さっきのホテルでの修羅場は、かなり刺激的だった。


■預金通帳の300万を使い込んだこと


■パチンコ屋で知り合った男とホテルにいること


■家族を捨てようとしたこと


そのすべてが夫にバレたのだ。


刺激が大きすぎて、頭がどうにかなりそうだった。


…ただ、この先の不安とか夫への恐怖とか


そんな事ではなくて


私の中にあったのは……


快感』だった。


こんな修羅場な状況なのに、大きすぎる刺激に対して


私は…

これまでの日常では、決して味わうことができない快感を得ていた。


ひとし
『次のホテルに事情を説明したら、1泊分の料金を払えば泊まれるらしい。


車で次の目的地へ急ごう。』


ひとしは冷静だった。


寝言で、オスイチがどうのこうのと言っていた割には落ち着いていた。


ひとし
『たけしくんは、寝てる?』


そうね、とだけひとしに返して


たけしの方を見る。


私の横で眠るたけしの寝顔を見つつ、今日起きたことを思い返すと


さすがに胸が痛んだ。


では、出発しましょう!!


と、ひとしはノリノリで車のエンジンをかけた。


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(俺の名は『たかし』)


ちっ…


全く朝からどこへ行ったんだ。


使えねえなあ。


ベランダから、見る景色はいつもと変わらない。


いつもと変わらないが、【絶景】だ。


親父が死んだ保険金で買ったマンション。


親父の事は大嫌いだったが、大金を残して死んでくれたんだからもはや、何も言うことはあるまい。


俺の名前はたかし。


妻の名は京子で、一人息子のたけしと3人暮らしだ。


大手の超一流会社に就職し、同い年ぐらいがヒイヒイ言っている住宅ローンもない。


他人から見てみても、
俺の人生は安泰だ。


人生は安泰…。




果たしてそうだろうか?



朝早くに起きて満員電車に揺られ、会社へ。


朝礼が毎日あり、社員全員


売りまくれ!


売りまくれ!


売りまくれ!


と、新商品を自分の頭上高くに掲げながら大声で毎日15回。


日中に外回りを済ませて会社に帰ってきたと思ったら


無駄な会議が夜の20時から。


社長はコロナの状況を全く理解もせず、社員の出社を求める。


退勤はいつも23時で、帰宅は24時。


その後に残った仕事をこなしていたら、寝るのは深夜2時にもなる。


基本、休日はたけしの学校の集まりに行かなくてはならない。


これが俺の日常だ。




…昭和ですか?


いや、本当に超一流企業ですか?


ブラックですか?


もうすでに時代は令和だ。


この同じルーティーンの繰り返しに、俺は飽き飽きしていた。


かといって、自分で起業をする事は考えにない。


莫大な借金こそしなかったが、毎日の資金繰りで頭を悩ませていた親父の様にはなりたくはない。


でも…





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