パチンコパチスロ天下一日記バトル
著者:村上次郎
『詐欺は絶対に許さない。』
私は、どこにでもいる年金パチンカーです。
どこにでもいる81歳です。
どうしようもなく、つまらない人間かもしれません。
しかし、
人に迷惑をかけぬよう、人を騙したり傷つけたりしないよう
心がけて生きてきましたし、
子供たちにもそう教えてきました。
真面目に一生懸命に生きている人を騙すような事は許されません。
つい先日、妻(バアさん)の遺品を整理していたらこのようなものが出てきました。
そしてこれらの本の下に
悩んでいたのですね。
私たち年金パチンカーにとっては
打つことは生きること。
バアさんはホールの開店待ちで亡くなるほどの生粋のパチンカーでした。
台を粘るべきか。
移動するべきか。
連荘即ヤメか。
連荘後1回目の魚群まで様子を見るか。
悩みは尽きなかったのかもしれません。
その悩みに夫としてどれほど気づけていたか。
自問自答する日々が続いています。
さて皆様、こんにちは。
前回の日記では1134票という多大なご支持を頂きまして大変恐縮しております。
私の人生でこれほどのご支持を頂けることは全くございませんでしたので
もしかしてこのタイミングで市議会選挙に立候補しても当選するのでは?
と思いましたが孫に止められました。
村上次郎です。
みなさま、本当にありがとうございます。
しかしながら息子や会社の部下には
「若いうちに自分の特技を把握してそれを伸ばすことが大事」
と伝えてきましたのに
まさかこの年になるまで自分の特技に気づかなかったとは一生の不覚です。
齢81にして一生の不覚に気づいても取り返しがつきません。
どうかみなさまは、一生が終わりかける前に特技に気づいてほしいと切に願います。
ところでいきなり話が変わりますが、
つい先日、オレオレ詐欺にあいました。
私のような年金パチンカーにとって、命よりも大事なお金。
それを狙う輩を許すことはできません。
今回は注意喚起の意味を込めて書かせていただきます。
その日も大好きな北斗無双を打とうと、玄関でウキウキしながら靴を履いていました。
少しでも北斗七星のご加護があるようにと思い購入したコンバースのスニーカー。
この星が店長にとっての死兆星となるのだと、ほくそ笑みながら玄関のドアに手をかけたその時。
電話が鳴ったのです。
私のような高齢者にとって、一度履いた靴をすぐに脱ぐというのは極めて面倒であります。
さらにホールの開店時間も迫っていましたので、いっそ電話は無視して出かけようかと思いました。
しかし、万が一。
知人友人、あるいは親類の訃報という事もありえます。
いえ、万が一どころか十分の一ぐらいでその可能性を否定できません。
なにしろ私の年代はロングSTの終盤のようなもの。
いつ終わってもおかしくありません。
仕方なしに電話に出ました。
すると電話口からは
「あ〜もしもし、オレ、オレ、オレだけど。」
と聞きなれた声が、
すぐに分かりました。
息子です。
年に一度、連絡があるかどうかのバカ息子です。
それでも親というのは子供の声を忘れないものです。
私は聞き返しました。
「お、おまえか?」
と。
すると電話口からは
「そうだよ、オレだよ、オレ。」
という答えが。
私はもう一度聞き返しました。
「本当に、お、おまえか?」
と。
すると電話口からは
「だから、オレだよ、オレ。」
という同じ答えが。
私は確認の意味で、もう一度聞き返しました。
「本当に、お、おまえなのか?」
と。
すると電話口からは
「だから!オレだよ!オレ!」
という全く同じ答えが。
この答えは非常に私を悩ませました。
恥ずかしながら村上次郎、息子の名前を忘れました。
日頃からパチンコを打ってばかりでしたので、もの忘れが進行していたのは否めません。
しかし私にも親として恥ずかしいという感情はありますから、息子に対して
「お前の名前なんだっけ?」
とは聞けません。
ですから向こうから名乗ってくるのを待つ作戦をとりました。
「お、おまえか?本当におまえか?」
「そうだよ、オレだよ、オレ。オレ。オレ。」
「えっと・・・。お、おま、おま、おまえか?」
「だから、オレだよ、オレ。オレ。オレ。オレ。オレ。オレ。」
「だから、お、おま、おま、おま、おま、おまえか?」
「オレ。オレ。オレ。オレ。オレ。オレ。」
「おま、おま、おま、おま、おま、おま?」
「オレ。オレ。オレ。オレ。オレ。オレ。」
「おま、おま、おま、おま、おま、おま!?」
もはやカエル合唱です。
埒が明かないので、一生懸命に名前を思い出そうとしました。
しかし一生懸命になったぐらいで解決するのなら
どんなに楽な人生になるでしょうか。
一生懸命になっても、どうにもならない事があるから人生は難しいのです。
ましてや一生の終盤に一生懸命になったところで、大したことは起きません。
私の頭の中では水族館のマグロのように人名がグルグルと回るだけでした。
(け、ケンシロウ…?)
(いや、それはパチンコだ。)
(さ、サム…?)
(いや、それは外人だ。)
などと自問している間にも電話口では
「オレ!オレ!オレ!オレ!オレ!オレ!」
と叫んでいます。
いえ、怒鳴っていたと言ってもいいでしょう。
怒気を含んだ声を浴びせられ続けて私は焦りました。
その結果、とにかく何か言わなくてはと思い、私の口から出た名前は。
「じゃ、・・・ジャギ?」
私自身、何を言っているんだろうと思いました。
ここは日本です。
はたして自分の息子にジャギと名付ける親がいるでしょうか。
村上ジャギ。ジャギ村上。
プロレスラーのリングネームじゃあるまいし。
しかし電話口からの答えに私は耳を疑いました。
「そうだよ、ジャギ!ジャギだよ!」
驚きました。
ジャギは実在したのです。
戸惑う私を置き去りにしてジャギは早口でまくし立てます。
自動車事故を起こして示談金が必要なこと。
すぐに用意できなかったので会社の金を使ってしまったこと。
早く会社に戻さないとバレてしまうこと。
だからお金を300万用意して欲しいということ。
あまりに突然のことと、切羽詰まった息子ジャギの声を聞いて、
どうにかしなければと思いました。
しかし動転した私から思わず出た言葉は、
「さ、300万。。。
ぱ、パチンコで勝ったら。
でいいか!?」
でした。
パチンカーの性を隠し切れませんでした。
私はどうやってパチンコで300万勝つつもりだったのでしょうか。
夢を見るにも程があります。
電話口のジャギからは
「ええっ!?」
という大きな声が。
その後、しばしの沈黙が訪れました。
その時でした。
私が電話口でまごまごしている事に気づいた孫が2階から降りてきました。
孫に事情を説明すると、孫は即座に
「それ詐欺だろ。」
と言いました。
「いや、詐欺じゃなくて、ジャギ。」
と私は言いました。
すると孫は
「どう考えてもオレオレ詐欺だろ!
俺の親父はジャギなのかよ!」
と大きな声を出しました。
その声で私も、ハッと正気に戻りました。
「オレオレ詐欺ならぬ、オレオレジャギとか朝っぱらからいい加減にしろよ!」
孫は私から乱暴に受話器を取り上げ、電話の向こうにいる自称ジャギに向かって、
「おい、俺はお前の息子だ。
俺の名を言ってみろ!」
と言い、その後に、
「ブチ〇すぞ!外道が!」
とすごい剣幕で電話を切りました。
相手が何と言ったのか気になってので恐る恐る孫に聞いてみました。
すると孫は、
「詐欺師の野郎、俺の事を『おまえ、ハートだろ?』って言いやがった!
なんで俺が先月100キロを超えた肥満体なの知っているんだ、クソっ!」
と怒って2階に戻っていきました。
危ないところでした。
詐欺師というものは恐ろしいです。
300万を取られたら、
毎日北斗無双を打ちながら慎ましく暮らすという私の年金生活が崩壊するところでした。
私のような年金パチンカーは常に危機に晒されています。
病気や怪我による死はもちろん。
今回のような詐欺師からも軍資金を狙われています。
それにしても人が一生懸命に働いて貯めてきたお金を騙し取るなど許されることではありません。
詐欺師というのは、人を騙して心が痛まないものなのでしょうか。
どうか皆様は大切なお金を失わぬよう
くれぐれもお気を付けください。
それでは私は、バアさんが遺してくれたパチンコの教科書、
いえパチンコの聖典とでも呼ぶべき、この本を手に、
今日も元気にパチンコを打ってきます。
どうか皆様も健全なパチンコライフを。
縁があればまたお会いしましょう。
この日記は賞金10万円対決企画となっております。
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