俺はその日、10年以上通いつめている純喫茶でキャラメルマッキャートを飲んでいた。
「マスター豆変えたかい?
なんだかいつもより香りが強いな。」
「変えたも何もさっき帰りしにスターバッカスで買ってきたんだよそれ。」
…そうか。
スターバッカスで買ってきた500円のマッキャートを800円で俺に提供してるのか。
くたばりやがれこのヒゲチャビンマスターめ。
この店に通うのはもうやめちゃおうかどーしよーか悩んでいるその時だった…
ピリリリリリリリ!
電話が鳴った。
相手は…
義理の母!?
ま、まさか…
ピッ
「はいもしもし讃岐ですっ!!」
「あぁあんた!今何してんだぃっ!?」
「近所でキャラメルマッキャート飲んでます!いよいよですか!?」
「そうだよ!まだ間に合うから早くしな!」
「了解です!」
た、大変だっ!!
ついにその時が来たかっ!!
「マスターお会計!」
「800円だよ。」
「高ぇよハゲッ!二度とこねーからなっ!!」
カランコロンカラァァーン!!
ボッタクリ喫茶を飛び出て、
急ぐ三流パチンコライター。
チンコ丸出しで街中を爆走する俺に、チャックを閉める余裕などどこにもなかった。
「ねぇママ、あの人チンコ丸出しで走ってるよ。」
「やめなさいシンタ。
あれは讃岐Jr.よ。
あんな風になったら人間もうおしまいなのよ。」
「チンコぐらいしまえばいいのにね。残念だね。」
お洒落なカフェの前を歩く子供と母親の目線が気になったが、
俺にチンコをしまう余裕などどこにも無い。
今はモーリスグリーンよりも、ボルトよりも、ただただ速く走る事に集中するのが俺の仕事だ。