「貴様、結婚などして、
その先に何を望む?」
「何も望まないさ。
ただ川の流れに身を任せ、
あるがままの人生を送っていたらそこに辿り着いたんだ。」
「牙も抜けたか…
魚屋よ。
あるがままの人生などワシらに必要ない。
今からでも遅くない。
許嫁を暗黒街に沈め、
ワシの元で再びその手を血に紅く染めようではないか。」
「おい讃岐。
オメーもいい加減悪魔ごっこを辞めて、
嫁の一つでももらったらどうだ。」
「馬鹿をいえ!
この青魚のような青二歳がっ!
ワシは貴様らのような安泰など望んでおらぬ!!
ワシらを社会の隅に追いやった世の中を破滅させるのがワシの人生であり、
その意味でのハッピーウェディングであるのだ!!」
「そーいや、
しょーこちゃんとはどーなった?」
「ドタキャンされた。」
「だっせ。」
「うるへぇ!!」
「それよりもお前、明日髪切ってこいよ。
そのボッサボサの髪型のまま、
俺の式にきやがったら許さんからな。」
「はい。」
「ヒゲもちゃんと剃れよ。」
「はい。」
「分かってんのか?
明日は嫁の友達もいっぱいくるから、
これはチャンスなんだぞ?」
「うん。」
「だから身なりをビシッ!として決めておけば、
よっぽど変な事をしない限り、
連絡先ぐらい聞けるから。」
「うん。」
「今、めっちゃ鼻毛出てるけどね。
そーゆーとこね。」
かくかくしかじか、
いよいよ明日、友人の魚屋が結婚式をする。
余りにも健全過ぎる前夜祭を無事終え、
俺は家で明日の準備をしていた。
えーと、
朝から髪切りに行って…
ヒゲ剃って…
鼻毛抜いて…
ピピピピピピピピピ!
ん?
メール?
誰だ?
ピッ
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讃ちゃんお疲れー!
明日急にオフになったから、
ランチにでも行きませんかー?
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うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
しょぉぉぉぉぉぉぉぉぉこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!