味気の無い日々。
色気の無い日々。
汗を流し、メシを食い、
糞尿を垂れ流しては毎晩仮死状態になる。
ひゅ〜〜〜
ドォォォォォォォン!!
8月に入り、もうそんな季節。
街は花火大会一色。
家族やカップルで賑わい、
職人の魂が篭った火薬が夜空を華やかにする。
「…そうか。
今日はHANABI大会か…。」
それと気付いたのは、
仕事帰りの赤信号にひっかかってから。
建物と建物の間から僅かに見えた幼い頃の記憶。
「讃ちゃん、何が食べたい?」
「おかあしゃん!ボク、たべものより仮面ライダーのお面が欲しいのねぇぇぇーん!」
「ウフフ♪おもちゃは何か食べてからのお楽しみよ♪」
優しい母に手を引かれ、提灯の中を歩いた。
「マザコンだな。」
マザコン?
フッ。馬鹿言うんじゃない。
そこらにいるママ大好き甘ったれ坊ちゃん達と一緒にしないでくれ。
俺はそれ以上に好きだ。