予選A─3話
HN:ラジオ少年さん
【彼女と夢とパチンコと-第一話】
19歳の春、
俺はミュージシャンの夢を抱いて大都会にやってきた。
武道館を満員にする盛大な夢だった。
自分が創った曲で、ギターで、
そしてバンドで、
人を魅了したいと願っていた。
音楽の専門学校に通い、
学校が終わればバイトの毎日。
身体はクタクタだったが、
憧れた都会の風に心が浮かれ、
疲れなんてどこ吹く風だった。
だが、帰宅すると毎晩ドロの様に寝た。
自分が思ってる以上に疲れていたのだろう。
そんな目まぐるしい日々を癒すかの様に、
俺の隣には、
″あの娘″が居た。
俺達が出逢ったのは友人同士のカラオケの席だった。
初めはよそよそしかったが、
お互いパチンコ好きと言うのもあり、趣味の話題で盛り上がり話が弾んだ。
それからというもの、
友人同士で何回か遊んでいるうちに、気付けばお互い惹かれあっていた。
互いの想いが深まるのと反比例して、忙しい日々がドンドン増えていく。
電話やメールでやり取りはしていたが、
以前より会う機会は減っていた。
お互い学校やバイトもあったし、卒業も控えやることは沢山あった。
会えない日々に我慢できなくなった俺は、
深夜彼女のアパートへ無理やり逢いに行った。
いきなりの訪問に困惑気味の彼女だったが、
必死な顔の俺を見て、
「来てくれて有難う」
と微笑んでくれた。
はにかんだ笑顔があまりにも可愛くて、
募り募った想いが自然と口をついて出た。
そしてその夜、俺は初めて彼女を抱いた。
時は流れお互い学校を卒業後、俺達は同棲を始めた。
彼女は就職、
俺は相変わらず売れないミュージシャン。
同棲する事に始めは反対していた彼女の両親とも、だいぶ仲良くなっていた。
休日には2人してパチンコや買い物、映画に遊園地と、
どこにでもいそうな若い仲の良いカップル。
彼女があまり遠出が好きじゃないので、
打ちにいく時は近所のパチンコ屋だった。
小っちゃくて昔ながらのアットホームな店。
まったりと並んで打てるのも魅力だった。
だいたい勝つのは彼女で、
俺は負けっぱなし。
当たっても″単発″ばかりとパッとしなかった。
好きな機種は″海物語″
その理由は
「俺がサメに似てるから」
と彼女は笑っていた。
単発男の俺がサメで当たると、
「俺君が3匹揃ったね。真ん中に挟まってるコが私なら幸せなのに」
とバカップル発言でほっこりさせてくれた。
魚群が出れば
2人ではしゃぎ、
当たれば、
大喜びで拍手したりし合った。
終わってみれば相変わらずの収支。
【彼女】
投資8000円
換金25000円
→17000の勝ち
【俺】
投資24000円
換金8000円
→16000負け
とほほ・・・
たまにはドカンと勝って、
男らしくドヤ顔してやりたい所だが、
現実はそう上手くいくもんじゃない。
マイナスの分を彼女が埋めてくれてる感じ。
こんな所でも甲斐性無しである。
今でも海シリーズを打つ度に、
あの頃の記憶が鮮明に蘇る。
確変を引く度に、
頭を撫でてくれたりもした。
恥ずかしいから辞めろと言う俺に、
連チャングセのある君は、
「ご利益ご利益!w」
と小馬鹿にしてるのか、励ましてるのかわからない言葉を言っては、
笑ってくれたね。
おかげでホントにその後に連チャンした時もあったっけw
あの頃は先が見えない焦りを感じながらも、
ずっとこんな日々が続いてくれると信じてやまなかった。
バンドをしながらのバイト代は多くなかったので、
彼女と2人で支えあって生活していた。
男として食わせていきたい気持ちもあったが、
夢に打ち込む時間も欲しかった。
そんな俺を君はずっと支え、励ましてくれていた。
「俺君には才能があるから頑張ってね。私はず〜っと、1番のファンで居るよ」
そう言ってくれる彼女の気持ちに甘えていたのかも知れない。
そんなある日、バンドでスタジオ練習してた最中、
彼女の職場から連絡が入る。
仕事中彼女が倒れた、と言う緊急の連絡だった。
付き合い始めてから2年が経っていた…。
第2話へと続く
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