テーブルを見ると綺麗に片付いている。
おかしいな、片付けてから寝たのだろうか。
その答えは台所からの声で判明。
「勇気ー?起きたー?」
「……姉ちゃん……なのか……?」
姉が俺より先に起きている……?
それともそっくりさんが不法侵入したのか。
「おしかけ女房や幼馴染じゃなくて悪かったね。
もう朝ごはん出来るから顔を洗ってきな」
バカなっ!?
何年ぶりかの姉ちゃんの朝飯だと!?
俺の家に来てから一回も無かったイベントだと!?
ああそうか、これは夢なのか。
しかしこんな冷たい水で顔を洗っても覚めない夢とは
何ともリアリティに溢れてるな。
そしてサッパリしてテーブルに座ると、
夢の中の姉が丁度朝飯を運んできてくれた。
ああ、なんて素晴らしい朝なのだろう。
どうか覚めない夢であってくれ――
――夢なら覚めてくれ。
朝からこんなキツイの食えるか。
「いや、姉ちゃん…朝飯は嬉しいけどさ…」
「そうだろう?何年ぶりかの姉特製だ。味わうがいい。」
「いや、だから、朝からカツ丼はキツ……」
「いただきまーす!」
今、俺の脳内で
『食え』は『死ね』にも変換出来たぞ。
背に腹は代えられないが、その腹に頑張って詰め込もう。
頬張る俺を見て一瞬満足げに笑った後、姉も飯を食いだした。
自分だけカロリーメイトかよ……。
本当なら手作りの飯を喜ぶべきだが、今はそっちが羨ましい。