エクストラ・ミッション
ああ・・・、だるい。
何もする気になれない。
今日も仕事休んじゃってイイかな、骨?
イイィー
真昼間から飲んじゃってもイイかな、ゲル?
ギイィー
声だして泣いちゃってもイイかな、ハンセン?
ウイィー
・・・・・・ダメだ、脳内に見慣れぬキャラが出てくるようになった。
女神を失った僕は今や沈没寸前だ・・・。
2人で行くはずだった七夕祭りの約束。
僕から告白すると決意した矢先、彼女は突然姿を消してしまった。
営業用の携帯しか知らなかった僕からは連絡の取りようもない。
彼女との絆を過信し舞い上がっていただけなのか・・・というか僕が“ただの客”だっただけということか・・・。
自問自答を繰り返すだけの5日間、携帯に知らないメアドが表示されると喜び勇んでメールを開く度、
『人妻のストレス発散、解消してくれませんか?』
・・・こんなのばっかで携帯を開く気力すら無い。
点滅する携帯を放ったまま、二日も仕事を休んでしまった。
部屋の隅で放置された携帯が鳴っている。見れば会社の先輩からの電話だ。
慌てて出ると、
「テンメー、心配させんなよ!!メールの返信くらい寄越せ!!」
叱られた。
電話を切って携帯メールを確認する。・・・うっわー、すんげー溜まってるし・・・。
・・・。
・・・・・・ん?
見慣れないメアドが連続3件入っているのに気付き開く。
『テステス、麗華です』
んあ!?
二件目『こんばんは、麗華です。これ新アドレスです、登録お願いします』
三件目『これが届いていたらメール返信ください(^_^)v』
な・・・何故か三分割の麗華からのメールだった・・・!!
・・・巡り遭う為
奇跡は起こるよ何度でも
魂のルフラン
私に還りなさい・・・
オーディオからは『魂のルフラン』がリフレインしている。
32歳にして涙が出た。
『会って話もしたいので明日お食事どうですか?』
というお誘いにはオフコースだよ〜、麗華〜!!
聞きたい事は山ほどあったけど、何より麗華との絆が残っていたことが何より嬉しい。
翌日、仕事帰りに麗華と待ち合わせ。
1分遅刻で待ち合わせ場所に着くと既に麗華が先に着いていた。
ああ、間違いない。僕の女神だ・・・。
「ち・こ・く〜!すっごい待ったよ?クスクス」
・・・かーいーよー、可愛いよ、麗華〜!!
恒例の麗華チェーーーック!!
栗色のタテロールに濡れるような瞳とぷるぷるのルージュ、
大人な黒ワンピース!! 露出した肩が艶かしい。
究極のエロス、ノースリーブは僕には眩しすぎるよ〜、麗華〜!!!
隠そうとしても極めて大な質量がやっぱり強調されてしまい、バァン(87)、
黒のベルトでシェイプされたウェストが細っ!! キュッ(59)、
でスカート部分がセミタイトになってヒップラインが太ももに沿って膝まで、パァン(88)、
キメタ、キマッタ、ウルトラCだよ〜、麗華〜〜〜!!!
パスタがいいという麗華のリクエストに応えてワインの飲めるお店で食事をする。
相変わらず、よく飲むわ、麗華ちゃん。
ワインがまわってきたのか、少し“ろれつ”が回っていないのに、今日はよく喋る。
楽しい。楽しすぎる。この時間が永遠に続けばいいのに。
うーむ・・・、もしかして今日はイケちゃうんじゃなかろうか!?
うっとりした麗華の目にうっとりする僕。
そんなとき、何か言いたそうだった麗華が突然真顔で語り出した。
今日は何でも余裕で聞けちゃうよ! パスタ食べながら余裕でふんふんと話を聞く。
「あのね、アタシね、」
ふんふん。モグモグ。
「あのね、」
ふんふん。余裕余裕。
「あのね、アタシね、、、“結婚”してるんだ」
オゴブフォーーーーッ!!!???
破裂寸前で咄嗟に、口を押さえた。
すると鼻腔に回ったパスタがそのまま鼻の穴から出きてぶら下がるという奇跡の光景が出現!!!
プールで逆さまになったときに鼻から水が入ったときのツーンとするあの痛み。
警報!! EMERGENCY!! 脳内だけじゃなくリアルも大パニック状態の僕!!
そしてそれを見た麗華が動揺するあまり言い出した次の言葉が、
「ア、アンビリカルケーブルってね、へその緒だって・・・」
・・・えええ!!!???
何故かEVAのミッションモード突入時の話を必死に話しだす麗華。
ああ、そうか。麗華、この切れたパスタが初号機の切れた電源ケーブルに見えたんだね。
EVA、本当に好きなんだね・・・でもね、麗華、違うよね、今は、そっちじゃない・・・。
あまりの衝撃的な告白に脳内ホワイトアウトするがとりあえず、冷静さを装いつつ鼻ぶらぶらのパスタを処理する僕。
・・・で、何だって!?
麗華は結婚していた。
僕の恋した26歳のキャバ嬢は実は人妻だったのだ。
麗華が結婚したのは3年前。職場の同僚だった二人の仲は長くは続かず、結婚わずか1年で別居。
不仲の原因は夫の浮気でその浮気相手というのが『キャバ嬢』だったそうだ。そして彼女は夫へのあてつけに自らもキャバ嬢になったという。
半ばヤケクソで進むことも戻ることも出来ずに居たなかで出会ったのが僕だった。
前から向き合ってくる養分体質の僕が、彼女に前に進むことを決意させたという。
いつしか『嫌いではない人』から『頼れる人』へ、そして『支えてくれる人』へと変化していった。
以前、松代へ帰省したときの彼女の用事とは、友人に離婚届けの証人欄に署名してもらうことで、僕の同行自体が彼女の精神的な支えだったらしい。
そして先日、その離婚届に署名するよう夫に手渡し、今は長野の実家に戻るための引越し準備中だという。それでお店も辞めたわけだ。
これで全て繋がった。
「ごめんなさい・・・」
ずっと僕には言えなかったそうだ。「彼氏は居ない」と言うのが精一杯だった。
僕に、軽蔑されたくなかったと・・・。
僕が思っていたよりも麗華は僕を思ってくれていた。
一歩間違えば不倫。「不倫は文化」と言ったのは誰だったか。一般的には不倫は大罪。で、慰謝料の相場は平均400万円。
・・・だけど。
麗華を失いかけたあの失望感を思えば・・・心は決まってる。
「もし、君が進むために必要としてくれるなら、“候補として”支えさせて欲しい。」
僕渾身のキメ台詞に顔を上げた涙声の麗華、
麗華は麗華で悩んでいる。恐らく僕を自分の離婚騒動に巻き込むことに葛藤しているのだろう。
「じゃあ、こうしよう」
結局、何かを理由にしないと動けない二人。僕ら二人の場合、ミッションを賭けたパチンコ収支勝負。
僕が勝てば僕の申し出を素直に受け入れて貰う。
麗華にも相当思うところがあるようだがとりあえず、そういうことなら、ま、やりますか。
昨晩の衝撃的な事実の余韻覚めやらぬ翌日土曜朝、ホール開店待ちの二人。
迷彩のキャップに白い長袖Tシャツ、黒革のベスト、迷彩のホットパンツ、という戦闘モードの麗華。
いつもならプロポーションに萌え萌えの僕だが、今日はシリアスだから無し。
なんせ今日の麗華は燃えている。漂うオーラが見える。
二人の対戦機種はもちろんコレ、仲良く並んでの
EVA6〜始まりの福音〜
とにかく先に当たりが欲しい・・・のだがやはりヒキ弱な僕。
20,000投資で410回転。何も起きない修行のような稼動。
しかし今日は珍しく麗華も当たりが鈍いようだ。15,000投資で単発1回。
僕の27,000投資532回転目、次回予告「真希波・マリ・イラストリアス出撃」→仮設5号機→444→羽昇格555
ッシャ!! ところが喜びも束の間、3連で終了。
麗華の追加6,000投資、ようやく確変を引き6連まで伸びたが終了。
その後2人とも先行きを不安にさせるような大ハマリに遭遇し、持玉も壊滅、追加投資へ。
当たりも着いてこず、その結果、
■第五戦結果■
対戦機種:EVA6
僕:−47,000
麗:−35,000
負けだ。僕の投資のほうが多かった・・・。
「ヨシャ!!!」
瞬間、小さくガッツポーズのアーミー風な麗華。そしてメールをポチポチ始める。
ブーッっと鳴った僕の携帯。麗華からメール北。
『麗華デス。【麗華が自由になれるその日まで、待っていてください。逃げちゃ駄目だ 】( ̄ー ̄)ニヤリ』
す・・・すすすすんごいシバリ、キターーーーーー!!!
彼女の離婚が正式に成立するまで終わることのない今回のミッション。
離婚届けになかなか署名捺印しない旦那を示談させるのに友人の弁護士を雇った。
お金に困った彼女のためにバイクも売ることにした。
この数ヶ月の麗華と僕の関係は、限りなくプラトニックだった。
僕は約束を守る男。ミッションは【自由になれるその日まで待つ】だから何も出来やしない。
そしてミッション発動から7ヶ月後、ついにその日はキタ。
麗華の夫が示談に応じ、離婚届に同意したと連絡があった。
緊張した面持ちで【離婚届け】を手にした麗華を助手席に乗せ役所へと向かう。
一人で大丈夫だという麗華の後姿をドアにもたれながら見送った。
麗華がしばらくして走って戻ってきた。
涙声で
「バツイチになっちゃった」
気丈に振舞おうとする彼女。
どうしようもなくいとおしくてせつなくて僕は強く強く抱きしめた。
ミッション【麗華が自由になれるその日まで、待っていてください。逃げちゃ駄目だ】
完遂。
翌日の夜、二人でお祝いした。
もう奮発しまくりだ。ここで手を抜いたら養分失格だろう。
ホテルの最上階で夜景を眺めながらのディナー。
二人でワインを2本空けて、ラウンジバーでカクテルを数杯。
薄ピンクのピンストライプのブラウスを着た麗華。
やっぱり麗華にはブラウスがよく似合う。
僕は焦らない。二人とももう分かっているから。
部屋を予約してある。
約束どおり、『その日』まで待った。
今日の僕には『渚カヲル』が憑依しているので無敵だ。
腕を組み麗華と部屋に向かう。麗華も何の疑問もなくついてきてくれた。
二人きりの部屋でとりあえず5分以上重ねての長めのキス。
「や、シャワー・・・」
言いかけた麗華を少し強引にベッドへ押し倒す。
シャワーなんて浴びさせない。
だって。
”アレ”が、出来なくなるじゃないか!!

アオーーーーーーーーーン!!!
けけけけしからーーーーん!! なブラウスのATフィールドに全開!!!
勝利!!!
視覚・嗅覚・触覚・聴覚、そして味覚。
5感すべてで感じる。
・・・・・・・・・
!!!
◎◎◎◎◎◎
♂♂♂♂♂♂
ΛΛΛΛΛΛ
二人の初めては大満足で大成功、翌朝、麗華が僕に言ってくれた
「最高に嬉しかった」
この言葉とこの時の麗華の笑顔を僕は一生忘れない。

七夕祭り。
浴衣姿の麗華と手を繋ぐ僕が居た。
昨年、ここで言おうとしたことを言ってみた。
“君が好きだ。”
「ん?知ってるよ。噛まないでよく言えました、タナボタくん?」
「恋も養分イイジャナイ!!」
そんな青臭いフレーズが僕を奮い立たせる。
たとえ誰かがやめろと言ったところでやめられない。
だってそうでしょ?
好きなものは好きなんだから・・・しょうがない!!
(Fin)
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