蜂須賀ミルキーパチスロ短編小説♪

【パチスロ短編小説】
HN:蜂須賀ミルキー




「6、7、ハチ!みつばちハッチ!

 貴方のハートもアタシの針でチクっとしちゃうゾ☆

 蜂須賀ミルキーです!!

 今日もよろしくねっ♪」

パチスロ蜂須賀ミルキー001



両頬の拳を顎につけて、キメ顔。


かん高い声に、ファンの皆さんの歓声が重なる。


少し屈んで、会場の端から端を目標に思いっきり手を振ると、


会場いっぱいの"ミルキーコール"。


進行役のナルミも、これにはタジタジで。


マイクを握っているのも忘れて、


え、えっとぉ・・・なんて戸惑った声を出してた。




「それでは聞いてください。

 新曲”ぴゅぴゅうっと、春一番♪”」




ナルミの曲紹介の後、

間髪入れずにマイクを握った。



「今日もぉ、はーりきってイッちゃいましょー!」



本来ならナルミに飛ぶはずの声援を奪うように、掛け声を入れた私に、


みんなの視線が集まる。


99%の興奮、1%の怒気。


メンバーから向けられる視線に、


片目を瞑って小さく舌を出した。


ナルミが何か言いたそうに僅かに口を開いたけれど、


流れ出したイントロに、口を噤んだ。


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「だからさー、

 悪かったって言ってんじゃん」




「アンタ何回目よ?

 ああやって他人のマイクパフォーマンス潰すの。

 その度に反省した的なこと言うけど、全然反省しないじゃん!」




折角丁寧に手入れされた黒いロングの髪を逆立てて、キョウコが言った。


正面からぶつけられる敵意を追い払うように、


私はがしがしと頭を掻いた。




「あーもー面倒くさいな。

 だったら潰されないようなマイクパフォーマンス、したら?

 ナルミがイマイチ足りないから、私が盛り上げてやってんじゃん。

 お礼こそ言われて当然なのに、

 何で怒鳴られないといけないわけ?」




そこで、キョウコの隣にいたナルミがわっと泣きだした。


キョウコの怒りは頂点に達して、


私に向かって振り上げた掌をマネージャーさんが押さえた。



「まあまあ!

 キョウコちゃん、

 今日はそこまでにしようよ。

 ナルミちゃんも、ね?

 そんなに泣かないで。

 この後営業でしょ?」





最後に、と私に視線を投げたマネージャーは、さっさと行け、とばかりに顎をしゃくって合図した。


キョウコとナルミの茶番の間に支度を済ませていた私は、荷物を背負って、控室を後にした。



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