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とんでもないお客様その3!


銀玉戦士


ハンドルネーム 銀玉戦士


どうも、まるみん編集長LOVEの銀玉戦士と申します。


そして3回目の投稿になります。


パチンコ屋で働いていた経験から、ホールスタッフ目線からのとんでもない客の告白になります。


今回は、20代前半頃に地元のパチンコホールでアルバイトしていた頃の話です。


駅から歩いてすぐの商店街の一角にあった小型パチンコ店。


総台数200台ほどの、こじんまりしてて少し古くさい個人経営の店でした。


当時は近隣に大型店舗がグランドオープンしたりと、パチンコホールの規模が徐々に大きくなっていた時期でもありました。


経営しているオーナーは、新規顧客を作ろうなどという思いはなく、近所の人が来店してくれれば良いという感覚で経営してました。


(その経営スタイルが時代に合わなかったのか、今ではもう店舗は潰れています)


稼働率は平日4割で休日6割ほど。


当時の小型店では平均的な集客で、来店する人の名前を店の全員が知っているぐらい、ほとんど近所の顧客で成り立っていました。


あまり見かけない人の来店があると、


「あの人誰?誰か知ってる?」とインカムで共有するぐらい、地方特有の排他的な面がありました。


イベント狙いのプロらしき人が来ると、平気でストック飛ばしなどをして排除しておりました。


当時大人気だったスロット吉宗で、8代将軍ランプがキーーッンと光ったのに、まさかのボーナス終了と同時に消えるという現象を何度見たことか(笑



当時のスロットは、初代北斗の拳や吉宗が大人気でした。


私と同じ世代の当時の若者は、北斗や吉宗に夢中でした。


店の看板機種として、常に高稼働をキープしていたのもこの2機種です。


人気台があれば、当然誰からも相手にされない不人気台がホールにはあります。



それが、ベルコの「スーパービンゴ」でした。



5号機で後継機が出たので知っている方も多いと思います。


ホールの目立たない隅っこに、ひっそりと3台設置されていました。


北斗が「クラスで一番人気の男の子」だとしたら、ビンゴは「あの人の下の名前ってなんだっけ?とクラス全員が考えるぐらい目立たない男の子」です。


不人気台のビンゴは、ホールからも見放されており大切に扱われません。


設定は常に不動の1。


たまに物珍しそうにビンゴを打つ人がいましたが、100~200G回してつまらなさそうな表情で止めていくだけです。


いつ撤去されてもおかしくないビンゴでしたが、ある一人の女性の出現で脚光を浴びることになります。


その女性は50代主婦。



背が低く物静かで、いつも赤いエプロンをしてホールに来ていました。


夕食の買い物のついでに、少し遊びで2~3時間打って帰るおばちゃんです。


いつもはパチンコの海物語とかジャグラーなどを打っていましたが、その日はなぜか来店してビンゴに座りました。


そして1回目のボーナスで、まさかのHooah!が発生。


スロットコーナーを見ていた、仲が良くいつも元気なスタッフ(ユウ君)からインカムで


「うぉーーー!ビンゴフワりましたーー!」とテンション高く報告が入り、私も気になってビンゴを見に行きました。


数字がドンドン上がり、最終的に「777」で停止。



ユウ君と「おぉーーー、すげーーー!」


と盛り上がりましたが、引いた本人は表情を崩すことなく淡々とボーナスを消化してました。


ドンドン箱が積み上げられて、一撃7000枚獲得して帰っていきました。


それから1週間ほど経った時、このおばちゃんが誰も座ってないスーパービンゴに着席。


そして、ボーナスを当ててすぐにHooah!発生。


555で数字が停止。



ちょうどスロットコーナーを担当していたわたしはインカムでそのことをすぐ共有しました。


「ビンゴフワりましたー!前のおばちゃんです!」


すかさずユウ君がインカムでかぶせてきます。


「そのお客さんのあだ名考えましたぁ!


ビンゴマスター


これでいきましょう!」


その日からそのおばちゃんは、スタッフの間でビンゴマスターと呼ばれるようになりました。


ビンゴマスターの来店ペースは変わらなかったですが、海やジャグラーに座ることがなくなりました。


もちろんスーパービンゴ一択になりました。


私は今までパチンコ台、スロット台に相性なんてないと考えていました。


相手は人間ではなく機械なんだから、そんなのオカルトの類と馬鹿にさえしていました。


ただ、ビンゴマスターとの出会いで考え方が一変しました。


なぜなら、ビンゴマスターは来店すると、必ずHooah!をさせて帰ります。


嘘のような話ですが、本当に毎回ビンゴで大勝ちしていました。


変な表現になるのですが、ビンゴマスターはスーパービンゴという台と同化しているように見えました。


一体化しているのです。


店長も閉店後に何度もスーパービンゴを確認して、


「設定も1で問題ない。


不正ロムが取り付けられてもいないよな。


凄いヒキだな」


と焦ると同時に感心さえしていました。


当時は地域的に裏モノ全盛期だったこともあり、あの店のスーパービンゴは絶対に裏だという噂が広まっていました。


もちろん裏ではなく正規品の台なのに。


裏モノ目当てで若者がビンゴ全台を占拠して打つことがありましたが、ボロボロに負けて帰っていきました。


設定1のスーパービンゴなんて、Hooah!しなければ打ち続けて勝つことは難しいです。


ビンゴマスターは来店すれば大勝ちしてるのに、来店回数が増えたり朝から来店したりすることはありません。


いつも決まった時間に来ていつものスーパービンゴに座るだけです。


そしてHooah!をさせて大勝ちして帰るだけです。


一度Hooah!が1999Gまで確定した時、ビンゴマスターが呼び出しボタンを押したので向かいました。


「もう少しで帰らないといけないから、大当たり途中で帰っても大丈夫ですか?」と消え入りそうな小さな声で言われました。


少し申し訳なさそうな表情をして。


「大丈夫ですよ。
帰る時間がきたらまた呼んで下さい。
大当たり途中でもすぐ交換しますので」


と私が言うと、ビンゴマスターはホッとした表情を浮かべて軽く会釈をしました。


静かで丁寧な物腰のビンゴマスターは、ホールスタッフからも好感度が良かったのですが、こちらから話しかけるようなことはしませんでした。


一人の時間を楽しんでるという感じのタイプのお客さんなので、気軽に話しかける行為は迷惑になるからです。


ビンゴマスターがスーパービンゴを打ち始めてから3ヵ月ぐらい過ぎた頃です。


クリスマスシーズンになり、商店街はクリスマス一色で賑わっていました。


早番後に、ユウ君と暇つぶしで商店街を歩いている時に、町内会主催のクリスマスイベント大会が開催されようとしていました。


どんなイベントなのかなぁとふと見てみると、「特賞!アメリカ4泊5日ペア旅行プレゼント!」の文字が最初に目に入ってきました。



「おい!ユウ君!
特賞当てて2人でアメリカ行こうぜ!」


ユウ君
「だな!アメリカ旅行豪華過ぎるわ!おい見てみろよ。
2位でも商品券10万円って書いてあるぜ!
これは気合い入れて参加するべ!」


2人で意気揚々と大会に参加しました。


景品が豪華なだけに100人ぐらい参加してます。


どんな大会なのかと、ユウ君と前列までいって長机を見たら、そこにはビンゴゲームをする道具が並んでいました。


その瞬間、ユウ君と私は同じタイミングで目を合わせました。


ユウ君
「、、、おい、まさかだけどよ、ビンゴマスター参加してないよな?」


私とユウ君は、恐る恐る周りにゆっくり目線を向けました。



「ユウ君、、、居るよビンゴマスター。ほらあそこ。」


ユウ君はその姿を見るやいなや、敗色濃厚という唖然とした表情に変わりました。



「ユウ君、ビンゴマスターいるんならまず特賞は持っていかれる可能性大だから、2位の商品券狙いしよーか」


ユウ君
「ちくしょー、アメリカ行きたかったなぁ。そうだな、2位の商品券10万で勘弁してやるか。」


そんな話をしながら大会を待っていると、ビンゴカードが配られました。


真ん中にFREEがある定番のタイプです。


最短で4つでビンゴになる5×5面のカード。


そして大会がスタートしました。


司会のマイクパフォーマンスが派手で面白く、ライトなども凝った演出で、町内会の催し物の割にすごい盛り上がっています。


司会が4つ目の数字を読み上げた時、私とユウ君は同時にビンゴマスターの方を向きました。


ビンゴマスター、動きありません。


そして5つ目の数字を読み上げた時、ビンゴマスターではない違う人が大きな声で


「ビンゴーーーーー!ヨッシャーー!」



と言い、特賞を勝ち取りました。


ユウ君
「あれ?ビンゴマスター駄目だったんだ」


結局、私もユウ君もビンゴマスターもビンゴをすることなく大会が終了しました。


私は帰り際にビンゴマスターの方に行き、手にしているビンゴカードをふと見ました。


驚いたことに、ビンゴカードは真ん中のFREE以外は折り曲げられていませんでした。


一つも数字が呼ばれなかったのです。


その時のビンゴマスターは、小動物のように体を小さくブルブル震わせ、カードを強く握りしめていたのを覚えてます。



恐らくビンゴマスターはこの時、完全にツキに見放されたんだと思います。


それ以来、ビンゴマスターはスーパービンゴを打ってもHooah!をさせることはありませんでした。


毎日のように来店するようになり、どんどん負けが込んでいきました。


酷い時にはビンゴ1台で逆万枚(-20万円)を食らったりしていました。


負けを取り返そうと朝から来店してビンゴを打ち始めて、夜まで打ち続けてボロボロに負ける毎日になりました。


以前にスーパービンゴで勝ちに勝ったお金は、全てスーパービンゴで飲まれてました。


恐らく借金などもしていたのでしょうか、顔の形相も変わっていき、大声で何かを台に向かって叫んだりすることもありました。


ホールスタッフにも毒つくことが多くなり、みんなから忌み嫌われる存在になっていきました。


あだ名もビンゴマスターから、ビンゴババァに変わりました。


「ギャンブルは、時として人を変える」


ギャンブルの怖さを改めて痛感したビンゴマスターとの出会い。


皆さま、ギャンブルはほどほどに楽しくやっていきましょう!


以上になります!


今回も楽しく書けました!


MAX編集部から

MAX編集部のノッチです!


今回で3話目のご寄稿頂けた銀玉戦士さん!


超面白いですねっ!!


この3本で天下一日記バトルに参加していたら…


優勝してたんじゃない?(笑)


賞金10万円がぁーーーーっ!!
↑別に私が悔しがっても仕方ないですけどもw


いやー!!さすがにぃー!!もぉーー!!


銀玉戦士さんもネタ切れかなとぉぉぉぉーーー!!!


[壁]д・)チラッ


それでも私達にはあの一言をお伝えするしか出来ません!



皆さん、準備は良いですか??


ケーーーーンっていう準備は出来てますよね?


感想をメールでも掲示板でもいいのでよろしくぅぅ!


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