銀玉戦士著
銀玉戦士と申します。
2回目の投稿になります。
どこからか、ケーン!と聞こえた気がしたので(笑
今回もパチンコ屋で働いていた経験から、ホールスタッフ目線からのとんでもない客の告白になります。
ケーン繋がりで、北斗の拳に関係する告白です。
10年ほど前になりますが、その時に人気を博したパチンコ台「CR北斗の拳 剛掌」。
前評判も良く、地方郊外の中型店のうちの店でも新台で40台導入しました。
40台という台数は、大型店舗なら普通の台数ですが、中型店にとってはだいぶリスクが高い台数です。
稼働がなかったらどうしようと不安になったことを覚えています。
大切に扱うために、新台初日から1週間は剛掌だけで見ると赤字営業の釘調整をしました。
見た目が良いヘソ釘をしっかり開けて、TY(大当たり出玉)を少し削る調整です。
初当たりを体験して欲しい!
ただ、当たり玉数がすこーし少ないのは勘弁!という感じです(笑
広告宣伝もいつもより力を入れ、40台地域最速導入!みたいな文言をいろいろな媒体で宣伝しました。
新台当日、嬉しいことに剛掌はすぐに満台になりホールスタッフの士気も上がります。
インカムでは「剛掌まんだーーい!」やら「北斗凄い出てます!」など盛り上がってました。
常連さんからは「どうしちゃったの?この店の割にはすごい出してるね!」などからかいの声もよく聞きました。
1週間過ぎて釘も少しずつ閉めても、剛掌は常に朝から満台の盛況ぶり。
「稼働マジック」とはよく言ったもので、台が稼働してると出玉が付いてくるので出ているように見えます。
常に台が空くのを待ってる人も数人いました。
そんな中、新台初日から剛掌を打ち続けている人がいました。
毎日同じ台を朝から晩まで打っていて、見た目が特徴的な70代男性。
身長が185cmぐらいでやけに高く、手足が長くキャシャな体型で、髪型は肩より少し長い白髪まじりの癖毛。
服装も全身ボロボロの布切れみたいな物をまとっています。
常に不健康そうで顔が疲れ切っています。
わたしは、彼のことを心の中で
「病に冒されすぎた拳士 トキ」
と呼んでました。
トキさんは誰にも迷惑をかけることなく静かに台をずっとにらんで打ってました。
動きも最小限で、無駄な力をどこにもかけていない、少し武道家の様な雰囲気もあります。
そして、ヒキが強いのもありよく出ていました。
一度、開店前の整列時にトキさんに
「おはようございます!今日も北斗の拳打たれるのですか?」と話しかけたら、
「・・・えぇ、まあ。」
と返ってきました。
シャイな方なのかな?と感じ、次からは無駄に話しかけるのはやめた方が良いなと判断しました。
毎日同じ台を打つ方って、当時のパチンコ屋さんにはよく居ました。
ちょっと変わった感じのお客さんが多かったですが、トキさんもその1人でした。
剛掌が導入されて3週目ぐらいに小さい事件がおきます。
いつもトキさんが打っていて台が、朝から違う人に取られていました。
そのホールは朝は先着順なので、トキさんより朝早くに並んで取ったのだと思います。
地域性もあると思いますが、常連の間では
「あの台は○○さんがいつも座ってるから○○さんの台!座るのは止めよう」
みたいな暗黙のルールがありました。
もちろんホール側はそんなルールは何もないので、誰がその台に座っても何も問題ありません。
嘘みたいな話ですが、トキさんより早く並んでその剛掌に座ったのは、これまた高身長でヒョロヒョロしている20代ぐらいの若い男性。
髪の毛も長く黒い。
少し高飛車な表情をしている、人にはあまり好かれないタイプです。
わたしは一目見てあだ名が瞬時に浮かびました。
「偽りの救世主にすらなれない アミバ」です。
トキさんは、自分がいつも打ってる台が取られているのに気がつくと、肩を落としてその日は何も打たずに帰っていきました。
剛掌はまだ空き台があって打てるタイミングだったのに、、、。
そこからトキVSアミバの台取の神拳勝舞が始まりました。
次の日は朝早くから並んだトキさんに軍配が上がりました。
その次の日は、トキさんより早く並んだアミバの勝利。
私が出勤する朝7時には並んでいたので、それより早い時間で勝舞が繰り広げられていました。
しかし、そのうちにトキさんが朝からその台を取ることが全く出来なくなりました。
なぜなら、アミバが閉店後にはもう並び始めたからです。
病に冒されすぎたトキさんには、閉店後からの並びは厳しかったのだと思います。
でも、よーく考えたらおかしな話です。
剛掌がいくら好きだとはいえ、閉店後に並ぶメリットなんて何もないのです。
スロットの設定6が確実に取れるとかなら話は分かりますが、パチンコで釘も導入当初より結構閉められていて旨味もない台です。
わたしが遅番で深夜1時ぐらいに帰宅しようとした時、アミバはもう寝袋を用意して待機してます。
それも毎日です。
なぜそんなにあの台を打ちたいんだろう?
トキさんに負けたくないから?
いや、そんなことはない。
絶対に何かあるぞこれは。
実は、その台は新台入替の数日後にデータに異常がずっと起きていました。
最初は他店の玉を持ち込んでの遊戯か?
などトキさんやアミバを疑ってましたが、カメラ確認してもそんなことはありません。
原因追及を役職者と閉店後に何度もしたのですが、原因不明のまま時間だけが流れてました。
何もおかしな所はないのに、ホルコンでは異常値が毎日出る。
これはどうしたもんかと悩んでいました。
稼働停止も考えましたが、そこまで大きな誤差でもないし、全台フル稼働したいという上司の意向もあり停止はしませんでした。
ただ、上司からはデータ異常の原因を早急に発見しろと言われてました。
出来る限りの原因追及はしても、一向に改善しません。
もう諦めかけた時に、まさかの救世主が現れます。
そう、それはトキさんです。
トキさんは、開店前にホールまで毎日来ていて、アミバが並んでいるのを見たら帰っていたらしいのです。
そんなトキさんが珍しく夕方過ぎに来店して、ホールに居た私に向かって、外に出てとジェスチャーをしました。
なにかあったのかな?
トキさんが話しかけてくるなんて初めてだな。
喧騒のホールから出て、静かな外でトキさんと2人きりになりました。
ただ、トキさんは何も話さず、気まずい時間が流れていきます。
「ん?どうされました?」
と沈黙に耐えきれずわたしから話しかけました。
「、、、あの台は、玉が出過ぎている。」
トキさんは、低い静かな声でそう囁きました。
わたしは、トキさんが何を言ってるのか理解が出来ません。
玉が出過ぎている?
今日のアミバは確かに大連チャンをしている。
そのことを言いたいのか?
「今日は確変が続いていますので玉が出ていますよねー!」
と当たり障りのないよう答えましたが、トキさんは少し声を張って
「違う。そういうことではない。」
と言いました。
「すみません、何をおっしゃりたいのかよく分からないのですが、玉が出過ぎるとはどういうことですか?」
とわたしはトキさんに言いました。
トキさんは、少しため息をついてこう答えました。
「あの台は、玉貸ボタンを押したら、玉がすごい出てくるんだ。」
「わたしは正直に言ったぞ。それでは」
と、それだけ言って去っていきました。
わたしは、トキさんのこの告白を聞いた時、背筋がゾワっとして、ある最悪のシナリオが頭に浮かびました。
それは順番にすると以下のようになります。
1.剛掌の新台入替の時に、同時に大型リニューアルオープンで1円パチンコを初めてホール導入した事。
今までは4円パチンコと20円スロットしかなかった。
2.1円パチンココーナーを新たに新設したのではなく、4円パチンココーナーを縮小して作った
3.サンド設定も業者頼りで、店側に詳しい人間が居なかった
4.4円パチンコと1円パチンコのサンドが同じものだった。
5.サンドが混同しないよう分けるための「4円パチンコ」「1円パチンコ」のシール貼りを業者ではなく店側が担当。
新卒社員とアルバイトさんがこの業務にあたった。
故障した時用の予備のサンドもあった。
6.予備の1円パチンコ用のサンドに、間違えて4円パチンコ用サンドのシールを貼ってしまった
7.剛掌の台で元からあったサンドが調子が悪く、新台数日目に交換した時、その予備の1円パチンコ用サンドを使ってしまった。
これが正解ではなければいいなと願うと同時に、これ以外考えられないという相反する気持ちに襲われます。
営業中に稼働停止にすることも出来ないので、閉店後に確認です。
4円パチンコなら、1000円入れて玉貸ボタンを押したら500円分出るので、表示が5になります。
1円パチンコなら、1000円入れて玉貸ボタンを押したら200円分出る設定だったので、表示が8になります。
わたしは恐る恐る1000円札をサンドに入れます。
頼むから、5が出てこい、出てきてくれ、、、
そう願い玉貸ボタンを押しました。
そして、無情にも、出てきた表示は、
「8」
数えると上皿には200個の玉がありました。
200円で200玉、、、
1円パチンコ用サンド確定です。
そう、4円パチンコの台に1円パチンコのサンドが使われていたのです。
「ふぅ、なるほど、これで全部が解決した」
と疲れた声を私は出していました。
データ異常が出ていたのも当たり前です。
そして、なぜアミバが閉店後に並んでいたかも当たり前です。
1000円で80回転弱回せる4円パチンコなんて、お宝台という次元ではありません。
確実に勝てます。
時給換算したらいくらになるのでしょうか、、、。
こんなミス、今考えたらすぐ誰かが気がつきそうなのに、当時は初めての1円パチンコ導入でお店も常にバタバタしていたので余裕がなかったんだなと思います。
サンドを交換した翌日、朝からアミバが座りましたが異常(本来なら正常)に気がつき、すぐに帰っていきました。
アミバはこの台でどれだけ稼いだのでしょうか?
「俺は天才だぁーー」って思いながら打っていたのでしょうか?
そしてトキさん、あなたもかなり稼がれたと思います。
アミバに台を取られるぐらいなら、店員にバラした方がまだマシだと思ったんですね。
ただ、告白してくれたことに感謝しております。
これは確実にホール側の致命的なミスです。
打っているお客さんは何も悪くありません。
皆さま、意外とこういう形のお宝台、ホールにある可能性はありますよ(笑
以上になります!
今回も楽しく書けました!
ありがとうございました!
銀玉戦士さんご寄稿ありがとうございました!
えーーっと、戦士さんは天才ですか?
偽りじゃない方の(笑)
超絶面白かったです!
全てがハイレベル過ぎて、私ごときが何か言うのはおこがましくてw
まるみん編集長!
銀玉戦士さんに感想メールお願いします!
あ、ちなみに皆様は銀玉戦士さんの1話目を読みましたか?
これまた超面白いので絶対に読んでね!
そして読者の皆様、もう分かってますよね?
3話目も読みたいですよね?
ケーーーーンっていう準備は出来てますよね?
打ち手目線!
業界人目線!
何でもOKです!
何か告白したい事があるパチンコユーザー様がいたら編集部までどしどしご連絡ください。
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