一瞬で状況を察したオレは、すぐ部屋に戻り荷物をまとめて家を出た。
こういう時って、浮気相手に
『なに人の女に手出してんだぁぁああ!!?』
って言い、取っ組み合いになるイメージがあるが、
不思議と浮気相手にそういう思いはなく、
ただただ、彼女に裏切られたという気持ちしかなかった。
決して、浮気相手が190cmくらいの大男だったからではない。
何も言わずに出ていくと、追いかけてくる彼女。
『待ってよ・・・っ!!』
無視して駅へ向かうオレ。
『待ってってば!!話聞いてよ!!』
『なんだよ!!??話ってなんだよ?!なんか言い訳があんのかよ?!騙してたんだろ!?おい!!なんか言ってみろよ?!!』
振ってから開けたコーラのように言葉が溢れた。止められなかった。
そんなオレに対し、彼女は黙ってしまった。
そりゃそうだ。
まさに男を連れ込もうとした瞬間にいたんだから、
佐野氏のエンブレム問題並みに言い訳のしようがない。
仮に佐野氏だったら、なんて釈明するだろうか?
『あのヒゲを見ましたか?あの人は実はオネエです。オネエを男と捉えるか女と捉えるかで解釈は全然違います。』
こんな言い訳されたら笑って許してしまったかもしれない。
確かにオネエといえばオネエにも見えたし・・・。
それに正直、浮気された傷よりも、
あんなブサ男に負けたのかというショックの方が今となって大きい。
そして沈黙が続いたのち、
うつむく彼女を背に、何も言わずにオレは再び駅へ歩き始めた。
そして彼女が追ってくることはなかった。
15分くらいして駅に着く。
しかし、すでに最終電車は行ってしまっていた。
心も体も行き場のなくなったオレは、
近くの公園のベンチで途方に暮れるのだった・・・。
はい!
今回も昔話をさせて頂きました。
稼働がありませんが、そこはタカさんにお任せするとして、
今回はこの辺で!
また来週!!