その日から、仕事に対するやる気はなくなる一方。
身を粉にして働いてきたのに、なぜ疑われるのか?
疑われた事より、信用されていなかったことが悲しかった。
行きつけのBARのマスターにも相談した。
「そんなことがあって、僕、辞めようと思うんです。」
「でも、ぷち主任は盗ってないんだろ?」
「もちろん、そんなことしてません!」
「じゃあ、ここで辞めたらダメだよ。辞めたら罪を認めるみたいになっちゃうよ。」
そう諭され、その場は納得したのだが、やはりモチベーションは上がらなかった。
疑われたまま働くことも嫌だったし、
何度も転勤や応援で出張をし、地元に対する想いが強くなっていて、
地元の為に働きたいという思いもあった。
そして2週間後、僕は辞表を出した。
同期からも連絡をもらったし、最初の店長からも連絡をもらったが、
僕の気持ちは変わらなかった。
僕を慕ってくれていた部下達に送別会を開いてもらったが、
会社としてはなかった。
やはり、最後の最後まで僕は疑われていたんだな…。
1か月後、僕を慕ってくれていた部下から連絡があった。
「ぷち主任、また無くなりました。」
「え?」
「また特殊景品が無くなったんですよ。」
「犯人は?」
「わかりません。ただ、前回のもぷち主任じゃなかったんだって皆言ってます。」
「当たり前だよ(笑)。」
「戻ってきませんか?店長もそんなこと言ってましたよ。」
「店長から頼まれたの?」
「違います。ただ、ぷち主任が居ないんなら、僕も辞めようと思って。」
この部下は、年は若いがしっかりしていて、
僕の右腕として鍛えていた子だった。