『あれ?こんなとこにパチンコ屋なんてあったかなぁ?』
よく見ると、花輪が凄いあり、
そして人がいっぱいでした。
そう。
今ならグランドオープンとすぐ分かるのですが、
その当時実際打ちに行かなかった俺は、
外観を見る限りホールは全て同じにしか見えなかったのです。
夏と言う事もあり歩きまわって暑かったので、
少し涼ませてもらおうと入りました。
打つわけでもないのに入店してきた俺を、スタッフさん達が笑顔で迎えます。
自分も同業なので、心の中で
(お疲れ様です)
と呟きながら軽く頭を下げました。
お客はほぼ満員で、
至る所にドル箱の山!
一目で出してるなぁ、と思える光景。
現在のご時世では考えられなくなりましたが、
何年か前まではグランドオープンともなれば、ほんとにお祭り状態で、
歩くスペースが無いくらい大放出の店も多数ありました。
このホールも例に漏れず、別積みで大漁旗がなびく程です。
箱数を数えると、
1、2、3、4、5、6、7・・・
19箱!?
(うわぁ、換金したらこれ10万位なのかなぁ)
思わず指を咥えそうな位の羨ましさ。
唖然としていると、見覚えのある人がシマの中から手招きしています。
(あ!先輩っ!?)
ドル箱の所狭しと並ぶシマの通路をいそいそと向かうと、
「来るなら連絡くれよw打つの?打つなら隣辞めるらしいから、打てば?」
と言う。
「いやぁ、でも暑くてフラッと立ち寄っただけですよ。それに手持ちも全然ありませんから」
と言うと、
「いーよ、いーよw俺1500円しか使ってないけど、もう10万位は出てるから、良かったら2、3箱持ってきなw」
と言われました。
「マジっすかw」
と苦笑いしていると、
隣の人が辞める模様。
先輩の知り合いらしく、
(正確には勤務先の常連)
お互い馬鹿勝ちして喜びあっている。
場の空気に流される様に着席し、
恐る恐るサンドに泣けなしの金を挿入。
「お兄ちゃんも出るといいなw」
とその常連さんは願をかけ、高笑いしながら帰っていった。
確かデータカウンターの大当り回数は17回を表示してたと思う。
(こんなに当たってるのにまだ出るのかな?)
と確率論を知らない当時の自分は、凄く不安な気持ちを抱いたのを未だ憶えている。
『ぶっ込みを狙って打ってみろ!』
突然、先輩が盤面を指差した。
言われるがままにハンドルを捻る。
玉は勢いよく発射され、
上皿があっという間に無くなっていく。
勿論保3止めなんて知りもしないので、
ひたすら打ちっぱなし。
何個ヘソに入ったかは分からないが、
あっという間に消えた500円分の玉にとにかく驚く。
後にもひけないので、
一先ず1000円だけ・・
と、もうワンプッシュ。
「顔が怖え〜よwもっとリラックスして楽しめよなw」
と先輩が隣から笑いかける。
(はぁ、そ、そうっすね〜w)
と苦笑いしながら画面を見ると、
リーチが掛かる。
その瞬間、噂に聞いていた群が通り過ぎる。
これには流石の先輩もケツが浮いたらしく、
「おお!おい!お前これ熱いぜ!当たるんじゃねえか?」
と興奮気味。
俺もいきなり最大のチャンスが起こったらしき自分の台を、
キョドりながら鼻息が荒くなる。
頼むっ!頼むっ!頼むっ!
当たってくれぇぇぇぇっ!
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