コッ
コッ
コッ
蝉の声がしなくなり、代わりに鈴虫が鳴く季節になった。
先日、外を歩いていると。
なぜかまだ蝉の声が聞こえた。
明らかに一匹だけ鳴いている。
蝉は一生のほとんどを土の中で過ごす。
外に出てきて鳴けるのは1週間くらい。
パートナーを見付けて、子孫を残すために。
だが、あの蝉は一匹だけだった。
なぜ出てきた!?
他の仲間はまだ土の中に居るというのに…
そんなたった一匹で鳴いている蝉を見て、他人事には思えない気持ちになった。
実は、
川藤にも大切な人が居る。
いや、居たと言うべきか。
大切な人から先日、
突然の別れを言われた。
夢を叶えるため、そう言われた。
川藤には止めることは出来なかった。
もう十年以上一緒に居たが、次のステップには中々進めなかった…
現状維持
それしか川藤には出来なかった。
出会いは唐突で強烈だった。
友達と5人位で飲んでいた時に君は、「うるさい!」と怒鳴り混んできた。
何とか怒りを納めて、冗談半分に一緒に飲もうと言ってみたら、
君は少し恥ずかしそうに席に着いてくれた。
そこから君と仲良くなるのにさほど時間は掛からなかった…
よく二人でカラオケに行って、
「真夏のオリオン」を二人でデュエットした。
二人とも酒が弱いのに無理に飲んで、介抱したりされたり。
辛いときも楽しいときも一緒だった。
…なんだよ、
ミャンマーって…!!
ミャンマーに行って何をしようってんだ!?
何だよ、どうしてだよ…
なぁ…
岡部よ。