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脱サラ男のパチプロ物語!


天下一 続編(田中耕一)


~前回までのあらすじ~


俺の名前は『田中耕一


持ち前のグーたらさ
仕事では失敗続き


見下され怒られる毎日に
嫌気がさした俺は、


仕事場に辞表を叩きつけ

晴れて自由の身に!



喜んだのも束の間、

あっという間に無くなって行く
俺の財産。


自らが得意と思い込んだパチンコで
散財する毎日


そんな日々をおくっていた俺に、
変な爺さんが話しかけて来た。



『わし、

 その台打っていい?』


出会いの印象は最悪だ


自身でハマり散らかした台を
ハイエナする爺い


嫌味満載で近づき話かけた俺は、
何故か爺さんに褒められた。


この店で
 回る台をよく見つけれたな


訳がわからない俺だったが、


この出来事で
爺さんとなぜか意気投合する事態に


『パチプロとは何たるか?』


自称勝ち組の俺が、
真の勝ち組になる為に


この変な爺さんが
【パチプロ】だと気づいた俺は、

勝てる秘密を探るべくさらに近づく


そして気づけば!?


爺さんと俺で
でこぼこパチプロコンビ』誕生さ。



耕一
『爺さん、今日は飯奢るよ』



※まだ前作をお読みで無い方は
こちらからどうぞ!

1話目

2話目


~あらすじ終わり~




耕一
『何でも好きな物食べてくれ』


爺さんと二人で大勝利!





気分も良く酒も進む。



なぜか俺は爺さんとノリ打ちした事で
自分もパチプロになれた気でいた。


酒に酔ってきた爺さんは、
あいも変わらず昔の武勇伝を語り出す


耕一
『これだから年は取りたくねぇな』



『言うじゃねぇか若造が』


二人で笑いながら酒を酌み交わす


こんな楽しい時間
久しぶりじゃないかな。


仕事に明け暮れていた時は、
酒を呑んでも付き合い酒で、


仕事仲間に連れて行かれた席で、
からかわれ笑われていた。


やれ

『一発芸をしろ』だの
『一気飲みしろ』だの


挙句に同僚の女の子の前で、


こいつが遅刻したせいで
 仕事が忙しくてさ


なんて過去の話を
ぐちぐちと掘り返してくる。


2日にいっぺんは
 遅刻するんだぜー


まじで怠い連中だ。


蔑んだ目で俺を見るんじゃねぇ


遅刻だってせいぜい週に3回くらい
するだけだろが


大声出していい返したいが、
俺にそんな度胸は無い。


そして最後はお決まりの‥


お前のせいで
 皆んな迷惑してんだから、

 ここの支払いは田中の奢りなぁ


散々馬鹿にされて支払いは俺持ちだ。



耕一
『ぁぁ、

 なんかやな事思い出しちまったな』



『なんだうかない顔をして?』


楽しい酒の席に
嫌な記憶で水を差したくない。


耕一
『なんでもねぇよ爺さん、

 それより明日も宜しくな
 二人で勝ちまくろうぜ』



『、、、、』


俺たちはパチプロコンビ、
二人で打てば負けは無い


これからの人生は
勝ち組として生きていく!


俺はその思いを爺さんに託した。




『なら明日は朝7時に◯店に集合だ』



おいおい爺さん‥


耕一
『そんな朝

 早くなくてもいいんじゃね?』



どうせ勝てる台に座れるんだから、
そんなに頑張らなくてもいいだろう。


思わず本音が口からこぼれ落ちた。




『ばかたれ、

 いい台があるなら尚更きっちりと

 台を抑えなければ
 意味ないじゃろが』


少し爺さんの顔が曇り出した。


だが、

これからパチプロコンビとして
やって行く仲だ

ここはハッキリと
自分の考えも言わないとな



耕一
『仕事じゃねぇんだからさ、

 もっと
 気楽に行けばいいんじゃね?』



『、、、、』



爺さんの曇った顔が
少し怒り顔になっている。



耕一
『だいたい俺さ、

 朝は苦手なんだよね』


俺は持ち前の持論で朝から並ぶのを
否定、


それより人がハマりちぎった後の台がいいと伝えた。




『ハマるとか当たり易いとか、

 何を言っているんじゃ?



爺さんは、

パチンコは回転率や
ボーダー理論が全てだ

と俺に反論してきた。



少し飲み過ぎたかもしれない


爺さんの反論がまるで俺を
馬鹿にしてるみたいに聞こえて来た。



耕一
『爺さんだって

 俺の慶次をハイエナして、
 たくさん出していたじゃねぇか』


俺の話に呆れ顔な爺さん。


少し険悪なムードになってきたが‥




『明日も早いしそろそろ帰るか』


爺さんは帰宅を宣言した


俺も呑み過ぎて
頭が痛くなってきたから

その意見には賛成。



耕一
『約束通り、ここは俺が払うよ』


爺さんは少しニコっと顔を緩めた。


なんだよ、結局金なんかよ‥


俺は心でそう思ってしまったが、
相手は年配の爺さんだ、

勝たせて貰うって意味でも
ここは恩を売っておかなきゃな。




『有難う』



なんだ、爺さんだって
可愛いとこあんじゃねぇか


昔の会社連中みたく

お前が払うのは当然だ

みたいな態度を
とられるかと思ったぜ




『明日は朝集合だから忘れずにな、

 遅刻するんじゃねぇぞ



別れ際に爺さんはそう言った。


何気ないない会話だし、

明日の約束なんだから
普通で何らおかしくもない


だが、



耕一
『遅刻、遅刻ってうるせぇな、

 俺が遅れたら一人で打っとけよ』



酒のせいかもしれない


なぜか『遅刻』と言うワードに
酷く腹を立ててしまった。




『一緒に打つんじゃなかったのか?』



爺さんは冷静にいい放った。


俺はなぜかイライラが止まらなかった


それがなぜかは
何となくは分かっていたが、



耕一
『はいはい、了解でーす』



不貞腐れながら爺さんに返事して
俺は帰宅した。


イライラが止まらない原因


本当は分かっている



『本当は
 全ての元凶だったからだ』



遅刻して怒られる、

周りに迷惑をかける、

会社に損害を与える、


本当は分かっていたんだ。


周りに馬鹿にされる‥


それは当然の結果だったんだ。


会社の連中だって、
最初から俺を見下していた訳じゃない


むしろ、


励ましてくれたり、
仕事を手伝ってくれたり、


いつも仲間の輪に入れようとしてくれてたんだ。


俺はそれに甘えていただけ


いくら遅刻しても
皆んなは許してくれる

仕事のミスは皆んなが助けてくれる

俺じゃなくても誰かがやってくれる


そんな生き方をずっとして来たんだ。


分かっている


分かっちゃいるけど‥



耕一
『、、、、』



そんな事を考えていたが、


次第に猛烈な眠気と共に
意識は眠りへと落ちていった。




翌日の朝


ちゅん‥ちゅ、ちゅん



耕一
『うぅぅん、もう朝なんか』



今日の天気は晴れ模様だ
眩しい陽射しが目に入り目が覚めた。


酔っ払って寝たせいか、
起きたはいいが頭が痛い。


身体が怠いので
二度寝しようかと考えたが、

携帯電話がチカチカと光っている。



耕一
『ああぁ、爺さんか』


その光は
携帯に着信があった証拠だった


携帯画面には5件の着信とある。


そう言えば‥


耕一
『今日の朝7時に

 ◯店とか言ってたなぁ』


時計の針は既に11時を回っている。







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