第39話【優しさ】
優しさってのは難しいものです。
僕の職業ってのは少々特殊なもので人の心理に深く携わる事を生業としております。
そこには「優しさ」という感情と言いますか心理も深く関わってくる。
ですが前述の通り
「優しさ」ってのはそんなに簡単なものではない。
自分の価値観に基づいた優しさなど受け手にとってはそうでなかったりするものです。
昔の話にはなりますが
僕の祖母家ではハーブを育てておりました。
祖母はハーブだとかアロマだとかそういった香り系の代物が大好きな小洒落たお婆ちゃんだった。
育てたハーブを収穫すると紅茶にしたり
香り玉?のようなものにしてはスーハースーハーと香りを楽しんでんだか
シンナーでもやってんだかよくわからない感じではあったけれども
とにかくエンジョイしていたのを覚えている。
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しかし、当時の幼い僕にはハーブなんてただの雑草にしか見えないじゃないですか。
なんというかどちらかというと害悪な物にしか見えないじゃない。
そうなると僕の中の「優しさスイッチ」が起動するわけですよ。
雑草=草抜き
という幼き故の悪魔的法則が生まれまして、
お婆ちゃんの外出中にそこら中のハーブを全て引き抜いてやりました。
「ルッコラに会えばルッコラを抜き、
ミントに会えばミントを抜く!!」
といった具合に慶次もビックリな悪鬼羅刹っぷりを発揮しながら
ラベンダーだとかローズマリーだとか優雅な名前のハーブ達を、
その名前の優雅さとは対極に残酷なまでに引きちぎってやりまして庭のプランター崩壊。
お婆ちゃんの楽園(エデン)崩壊。
そこで帰ってきたお婆ちゃんは当然ビックリですよ。
なんたって自分のエデンがヘルヘイムへと姿を変えているわけですからね。
そのお婆ちゃんの悲しげな顔を見てようやく自分のした事は優しさなんかじゃなく、
寧ろ悪事であった事に気付いた。
しかしお婆ちゃんは僕を責める事もなく
「○○(僕の名前)や、ハーブが誰かに抜かれちゃったよ。悲しいねぇ。」
とだけ問いかけてきた。
きっとお婆ちゃんは僕の仕業に気付いていたと思う。
その上で何も責めず、
出来れば僕の口からの素直な謝罪を願っての問いかけだったんだと思う。
それなのに僕ときたら
「へぇ、そりゃあ大変だ。僕の方も注意しておくよ。」
とか言ってた。
ホントどの口が言うんだよ。
犯人は紛うことなきお前じゃねぇか。
守るどころかバッチリ破壊神じゃねぇか。
こんな孫僕ならいらないね。
近所のマダムに相談を持ちかけられたものの
実はその原因は自分のファミリーにあった時のブチャラティはこんな気持ちだったんだと思う。
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