HN:百目のマルコ


ダークマシュカルタッティーの野望



自分より半分も生きてない幼き少年に、


「虫さんは夜は光に集まるよね。じゃあ、朝や昼はどこに行ってるの?」


という問いに対して俺は空に指をさし、こう答えた。







「宇宙。」



何故ならば、夢があるから。

そして、虫さんが日中どこにいっているのかは俺も知らないから。



「風俗」



そんな名答も頭に浮かんだが、まだ女の「お」の字も知らない小さな侍だったんで伏せておいた。



自分が小さかった頃、まだ女性の「じょ」の字も知らなかった頃、同じような質問を大人のお兄さんにぶつけた記憶がある。


「ねぇねぇ、虫はなんで光に集まってくるの?」


するとお兄さんはこう答えた。


「月。月だ。あいつ達は月を目指している。」


理解不能だったけど、その答に感動した。

月…か…。



そして、俺は歳をとった。

女の「ん」の字ぐらいまで経験し、虫が「宇宙」にも「月」にも行かない事も知った。


ピカピカ光るモノによく釣られるようになった。


気がつくと、いつも座っている。





THE パチンコ


俺は虫だ。

キラキラ点滅する光に集まる虫だ。

しかし意味もなく光に集まる訳ではない。

店の生き血を喰らう知能を持ったパラサイト。



通称

百目のマルコ



誰の為でもなく自分の為に俺はパチンコを打つ。


食事の為。

家賃の為。

光熱費の為。

ホストの彼氏に騙され多額の借金を追わされたあのコの為。

(これは例外…か)


俺はパチンコを打つ。


しかし、パチンコの「パ」の字も知らない状態で食ってけるハズもなかった。


月曜 -20000

火曜 -17000

水曜 +42000

木曜 +7000

金曜 -61500

土曜 -29500

日曜 -8000



時に運と勘が傾き、勝てる事もあったが、週トータルでのマイナス収支は日に日に蓄えを奪っていった。


まずい…

このままではイッてしまう…


何かどこかに勝つ為のヒントはないかと探した。



時に、冷房の効いた美術館で先人が残した芸術溢るる絵を眺める。


30分程ゆっくり作品を見て回った。


結果、






よく分からなかった。

大人一人1500円のチケット代を返して欲しいと思った。



時に、映画を見た。

タランティーノの激しいアクションの奴。


結果、






興奮して夜寝れないようになった。

もう一本借りとけばよかったなとも思った。


どこかにヒントはないものかね…


そんな時、MAXというイカしたパチンコサイトに出会った。

そこには、パチンコ専門でシノギを削る人や、仕事をしつつも副業で稼ぐ人達の日記が掲載されていた。


これだ。

日記を読み、気になったとこはメモをして、パチンコで勝つ為の知識を少しずつ増やしていった。



【 心 】

※いかなる時も冷静にある事。例え隣の台にレディー・ガガが座ってきても、動揺する事なく、液晶に集中する事。


【 技 】

※微々たる玉の増加でも手をぬかない事。一つ一つのパチンコ玉の節約が、黒柳徹子のようなスーパーブレインを生み出すという認識を持つ事。


【 体 】

※良台を確保したら閉店までブン回す事。ただし、そんな時に限って好きなコから食事の誘いなどがあるもの。

その場合、パチンコプロ条約第62法の規約通り、台を手放す事が許される。



この三つ。

【心・技・体】

この精神を持って挑む事によって、私は少しずつ「パチンコで勝つ」という事が解り始めた。



今回実戦しようと思う機種は


CRマシュカルタッティー


最大の魅力は最高出玉5000発超えの、

アニマサイダンジャーボーナスだ。


こちらのボーナスは慶次などでお馴染みのランクアップ式ボーナスとなる。


ヘソ当たりの大半が、

ンバスカボーナスだが、電チュー抽選になると、アニマサイダンジャーボーナスと

ダンジャーチャレンジボーナスが1対1の確率になるので、爆裂必須となるのはクラッカーぐらい当たりまえだ。



さぁ今日はこのCRマシュカルタッティーの稼動日記を書こうとホールへ繰り出してきたんだが…


1店舗目。





無し。


2店舗目。





無し。


3店舗目。



おっ?



おおおおおー!?






なんだ。

武神列伝か。


マシュカルタッティーと見間違えてしまったではないか。

なんだ!?

この辺じゃマシュカルタッティーは置いてないのか!?

あんな有名な名機なのに!?

おかしいぞこれは!


夢か!?

夢なのか!?

夢オチなのかっ!?



確認の為、指と爪の間に爪楊枝を刺してみよう。


プスッ



痛”ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇー!


ゆ…夢じゃないのはよく分かった。

とりあえずマシュカルタッティーは置いといて、目の前の潜伏っぽい武神列伝を打ってみようか。


単発後 82回転

着席


俺が「百目」と呼ばれる理由。

それはいかなる台の潜伏も見逃さないから。

今までの潜伏ハイエナ成功率は…


フッ

言わなくても分かるハズ。


どこの店でも
どんな台でも
どんな時間でも

潜伏っぽい台があるのを感じてしまうこのセンス。

卓越したスキル。

超越した選眼。

緻密な指芸。

淫らな人妻。

鍛練された頭脳。

逃亡した番犬。


全てをひっくるめて、

「百目のマルコ」



いざ、潜伏武神へと参らん。


500円Push


………


………


………



なるほどね。

そりゃ潜伏の可能性があっても、これじゃ捨てちまう訳だ。

500円で2回転。



前回の大当りが472。

んで、さっきまで82。

合わせて554回転。



500円で2回転。

554回転回すのに必要な金額は

554÷2=274

274×500=137000

13万7000円。




誰か知らないけどこんな釘でよく頑張ったよ。


後は俺に任せておいておくれ。

あんたの投資金額まで俺がかっさらってやるよ。


さぁ…

ヌルリと

ジワリと

きやがったきやがった。



擬似



擬似



サンセイ柄フスマ


そしてこれだ。





百目のマルコ01




もう貰ったも同然。

アゴまでついてくりゃ信頼度はマシュカルタッティーのヤグスヌチッチ予告ぐらい最高潮になる。


さぁ、パチンコ台よ。

飲みに飲みこんだ玉を吐き出す時がきた。


見せてやる…

百目のマルコの力ォォォォォォ!









百目のマルコ02



うっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーん!!??


そんなバ、バカな!

擬似3+サンセイ柄+役物アゴ付でハズれるだとぉ!?

この百目が一杯喰わされるなんて…


ありえないっ…!

信じない!

マルコ信じない!



とまぁ激アツは外したが今ので更なる確信を得たよ。

こいつ…






潜伏している。


分かるんだ。

分かっちまうんだ。

聞こえてくるんだよ…



台の声がな…。


迷わず続行。

俺の勝ちは揺るがない。

負ける要素なんて一つも無いんだ。

見えるよ。

この後、万発だして換金している姿がな…









326回転目





ギブアップ






ハッハッハッハッハ!


潜伏してなかった。

いやまだその可能性は否定できないが、これ以上追い金するのはやめておこう。

何故なら俺はこれから予約していた美容院に、髪を切りに行かなくてはならないから。

身だしなみは紳士のマナー。



しかし、困った事に私は、その美容院で払うハズだった金をパチンコに使ってしまった。


さて、どうしたもんかな…。

今からキャンセルだなんて、そんなカッコ悪い事はできない。




そうだ。

バリカンで頭を「これでもかっ!」てぐらい自宅で刈っていこう。

そして美容院に行って、堂々とした態度でこう言い放つ。







「パーマあててください。」


困る美容師。

笑う百目。


フフフフフ…


これではパーマもあてれまい!

イコール

お金も払わなくて済む!



完璧だ!

我ながら完璧な策だ!

よーし早速帰ってバリカンで刈り刈りするぞ!





後日、マルコは自宅でバリカンを手に頭を刈るとこまで言ったが、

ほしのあきがTVで


「坊主頭の人はちょっと無理ですねぇー♪」


と言っていたのを思い出し、断念した。

その後、美容院をやはりキャンセルしてしまう

のかと思いきや、


バリカンをしまっていたタンスから眠っていた封筒が出て来て、その中には2万円程入っていたらしい。


「あっ、寸志だ。忘れてた。ラッキー!」


その金を持って安心して美容院に行ったが、バースデーサービスという素晴らしいシステムのおかげで散髪代はかからなかったらしい。


髪を切ってさっぱりしたマルコは2万円の入った封筒を手に、満身創痍こう言い放った。





「マシュカルタッティー打ちに行こっ♪」




マルコのマシュカルタッティー探しの旅はまだまだ続くのであった…。



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