A「はい、もしもし。
…はい?もしもし?
聞こえませんけど。どちら様ですか?もしもーし!」
電波が悪いのか、聞こえていない様子だった。
何度話しかけても応答がないのだろう。
やがてAは電話を切り車を走らせる。
するとまたすぐにかかってきた。
Aは少しイラつきながらもまた車を止めて電話に出る。
「もしもし?どちら様?」
話し方からAが少しイラついているのがわかった。
その後も全く返答がなかったので、
CがいきなりAの電話を取り、電話口に叫んだ。
「もしもし!お前誰や!ええ加減にしとけよコラ!」
そう言ったその直後、
Cは、今度は車内の僕らに叫んだ。
「うわぁあ!!なんやこいつ!!!頭おかしいぞ!」
電話の事で車内に変な空気が流れていたこともあり、
いきなり叫びだしたCの声で、みんなが一瞬ビクッとした。
投げ捨てられた携帯を見ると、電話は切れていた。
Cが言うには自分が喋った後にすぐ
「きゃぁぁーぎゃぁぁー!」
と甲高い女の声が聞こえたらしい。
それも悲鳴の感じではなく、
少し人をバカにしたような感じだったらしい。
Cの冗談とは言えぬその表情を見て恐怖を感じ、
今いる所が人通りのない場所だったので、
明るい所へ移動するために車を走らせようとした、その時だった。
ゴン…ゴン…ゴン…